Kinesiopathology
- Hiroki Saito
- Apr 6, 2015
- 4 min read
医師の専門性は病態をベースにして診断を下し、的確に処置をすることだと思います。これは世界中の仕事の中で知識、技術的または権利的にも医師にしかできません。 反対に理学療法の役割は?と聞かれたときにそれをしっかり答えられない中でやる臨床って迷いが必ず生じてくると思います。
医師がメインに行う診断は‘pathokinesiology,すなわち病態が運動異常を引き起こすという考えで行っています。たとえば、ACLを切ると膝の不安定性が引き起こされ、スポーツ活動の中で支障がでる。ACL損傷を処置する場合は必ずMRIで確定診断を行って、手術(再腱術)か保存(可動域や筋力の回復)か選択します。この場合、治療の方向性は確実に決まります。骨折に関しても同じです。 ただいくつかの整形疾患は肩関節周囲炎、非特異性腰痛、テニスエルボーなどのように現時点での診断では、治療方針は確定しません。現時点ではここから一気に患者さんへの治療のバリエーションが増えます。リハビリ、整骨院でマッサージ、鍼、カイロ、ピラティスなど。というかここでは人によって免許にかかわらずやることが同じになることがほとんどです。この時点で上記の医師のような専門性はなくなります。またどれもエビデンスはないようです。
サーマンは理学療法士はkinesiopathologyをベースにした診断つまり、運動の異常が病態を作るという考えで診断を下すべきだとしています。例えば非特異性腰痛であれば、まず障害されている運動方向を分類します。この中でうつぶせにし、股関節を外旋していくと腰が浮き上がり腰部が回旋します。この時点で回旋が早ければ回旋障害と診断されます。治療方針はシンプルで、側臥位になり、股関節を外旋していく中で腰部が中間位に保持する練習をひたすらやります。そして再度検査したときに、腰部の回旋が減ればその時には痛みは減ってるか完全になくなります。この場合ストレッチやマッサージなどの徒手療法は行いません。この運動異常を修正しただけで改善します。この内容自体はワシントン大学がメインに三次元動作解析などで客観的に計測し、臨床研究もさかんに行われています。
これによって、例えばヘルニアで腰痛が。。。と思っている人の何割かは理学療法でしっかり改善できます。というかその場合そもそもヘルニアが原因で痛みがでてるわけでなく結果で生じているだけです。つまり現時点でヘルニアと診断されている人の中には、運動異常が原因でヘルニアになっている人が含まれます。特に慢性系の痛みの人はMRIなどによって過度に病態を意識させすぎるmisbeliefがあると症状の改善が難しくなります。 この運動を修正し、症状を改善するという専門性を発展させていくこと、患者さんにこのことをしっかり説明できることが大事だと思っています。またそのためにはredflagをしっかり見極める鑑別診断や病態が痛みを引き起こしている可能性が高い場合にしっかり医師とコミュニケーションをとれる能力を養う必要もあります。なんでも海外というのはよくないですが、海外では評価をし入念に行い理学療法で治す部分を明確にエビデンスとして出していく意識が高いと感じます。
以上のことから、専門性という意味では治れば何やってもいいじゃんという考えは好きではありません。運動異常を修正して、症状を改善するという視点で提供するべきだと思います。室伏やダルビッシュなどのトレーナーロビーオオハシもUSAのPTですが、今のサーマンの運動系を理論をスポーツ選手に提供しています。プロフェッショナルを感じます。
一見どうでもよさそうですが、このコンセプトがない限り、理学療法で軟骨は治らないのに、「膝OAに対する理学療法の効果」ということで絶対エビデンスのでない研究をやってしまうことになると思います。一つの考えだと思いますが、皆さんの意見があればよろしくお願いします。また神経系の分野は特にわからないのでどのような意識を持っているか聞かせてください。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24627430
https://www.youtube.com/watch?v=Z8k1a_kwUXY
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