Mature Organism Model
私たちが知る限り、痛みに基づいた分類の中で一番最初に提唱されたものでしょう。Gifford氏は理学療法士である以前に、動物学者としての経験があったためか(1)、ダーウィンの生物学的理論を背景とした生物学的観点から痛みを捉えています。ダーウィンを語れるほどの知識はありませんが、ダーウィンと聞けば進化論や自然選択説といった言葉が思い出されます。進化とは生物がそれぞれの環境に見合って効率よく生活できることとし、その進化がどのように起こるかというメカニズムを説明するのに自然選択(natural selection)という理論をもって説明してくれています(2)。その中に「生存のための奮闘(struggle for existence)」という考え方があります。どのような生物も生きて子孫を残すため、周りの環境や生物と奮闘している。優秀な遺伝子を残したい。こうした生物学的理論を背景として、Mature Organism Modelではストレスの生物学(stress biology)の一分野として痛みの立場を定めております(3)。生きるため、恒常性(homeostasis)を保つため、私たちの身体や脳は常に外界を意識的にも無意識的にも注意深く観察し、何か自身の身に降りかかってきた「こと(痛みや環境の変化)」に対して最も良いだろうと考えられるアクション(行動学的、生理学的反応)を、過去の経験やそのときの考え方、感情等に基づきながらコーディネイトして起こすことができるのです。
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Chartered Society of Physiotherapy(\(\(\(\(\(2014) "Physio 14:Speakers praise work of Louis Gifford, pain management pioneer" <www.csp.org.uk>
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河田雅圭.はじめての進化論.講談社.1990.
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Gifford LS. The Mature Organism Model. In: Gifford LS(ed) Toppical Issues in Pain 1. Whiplash - science and management. Fear-avoidance beliefs and behaviour. CNS Press, Falmouth.