EBP and manual therapy
- Hiroki Saito
- Apr 6, 2015
- 3 min read
データが重要という意見は疑いの余地がありませんが、ただ一方でRCTなどの質の高い文献は実際の目の前の患者には使えることは珍しいという意見もあります(正直ぼくも使った記憶があまりありません)。ただそれは実際に真剣に吟味したことがなく、またどのようにアプライするかをきっちり学んでないからということも考えられます。それを学んだ上で使えないならしょうがないので、現在それを勉強しています。以下の内容は現在多くのセラピストがやっていることの問題点とデータを使うことの重要性を書いてみました。
Immediate effects from manual therapy: much ado about nothing.
筋骨格系において評価、治療介入するとき介入直後の即時効果でそれが効いたか効かないかを判断することが多いです(介入後のROM改善、自覚的な痛みの改善など)。 効いた場合は患者が呈する症状と自分の考える原因メカニズムが一致している判断し、その介入を続け、時にはその介入が持続するようなセルフエクササイズを処方し、患者の回復を伺います。研究においても、例えば徒手療法の介入では有意な即時効果が認められるし、そのメカニズムも理解されている。
ただ実際自分が行った徒手療法が目の前の患者に効いたからといって、それが本当に仮設通りに効いたと判断できるわけでもない。なぜなら
①即時効果というのは、他の方法(ホットパック、超音波などの物理療法、キネシオテープ、鍼、ただのタッチや横たわる、口を開けるなど)で同様の患者に得られることもある。 ②carry-over effecttといってなんも介入していないくても一回目と二回目で値が変化することもある。 ③もし、即時効果があってさらにセッションを重ねるにつれて改善がみられても、それが介入に関係なく自然に治っている可能性もある ④即時効果と長期的な効果の持続はあまり関連性がないことも研究で示されている。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3172950/
なのでその場での即時効果にとらわれるよりも長期的に目の前の患者はどのようなアプローチをするかが鍵になることもある。長期的な予後は経験も要するし、初回のアセスメントどのような治療方針を決定するかをなかなか判断することは難しい。その時にいわゆるエビデンスというのが役立つのかと思う。例えばある研究ではインピンジメントの肩に対して個別に徒手療法+個別運動療法を行う群と個別運動療法のみのコントロール群とで1年間のフォローアップを行った。結果はどちらも同様に有意な改善を示したことから、徒手療法はインピンジメントには有益ではなく、運動療法で十分ではないかという結論。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25211291
おそらく、個別の運動療法は即時効果としては得られずらいし、患者さんの満足度も徒手を加えた方が得られやすいと思う。しかし、徒手をやらない分エクササイズの重要性を説明する時間もじっくり取れるし、もちろん患者の医療費も少なくてすむ。さらには限られた時間の中で他の難渋例に時間をかけれるようになる。即時効果の限界とこのRCTの科学的な根拠をもってしても、いやいややっぱりこの人には徒手が必要だと判断するリーズニングプロセスはどんなものだろうか
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