Step2:患者の臨床問題や疑問点に関する情報の検索
情報を効率的に探すためには、設定したPICOに出来るだけ関連した質の高い臨床研究を検索すること(2)、そしてその検索のために使い慣れたデータベースを持ち合わせていることが求められます。
また検索される情報は、一次情報:専門誌や学会誌に掲載されている原著論文と二次情報:複数の原著論文などの一次情報を要約したもので,メタ分析やシステマティックレビュー、そして診療ガイドラインなどがあります。基本的には二次情報から優先して検索を行う必要があります(2)。なぜなら二次情報はその分野に精通したメンバーが、一次情報を収集し、最新で最良の形で発信しているものだからです。
ここではまず情報の検索で使用するデータベースについて幾つかご紹介していきます。
PEDro(Physiotherapy Evidence Database http://www.pedro.fhs.usyd.deu.au/)
PEDroは、CEBP Centre for Evidence Based Physiotherapyによって運営されているデータベースで、一定の取り込み基準を満たす多くの臨床試験、システマティックレビュー、診療ガイドラインが月に1回のペースで更新されています。
PEDroで参照できるシステマティックレビューやガイドライン以外の臨床試験はPEDro scaleによって、その内的妥当性の程度が段階付けされています。
これについては③得られた情報の批判的吟味(Critical appraisal)の項目で説明していきます。
また近年では、日本理学療法士協会が独自の診療ガイドラインの作製に力を入れており、理学療法士協会の会員であれば、オンラインでいつでも閲覧可能になっています。日本語で書かれた二次情報で、理学療法に特化したものとなると、その数はあまりに限られたものになるので利用する価値の大きいガイドラインと言えるでしょう。
その他にもCochrane Library(http://www.cochranelibrary.com)、Up to Date(http://www.uptodate.com/ja/home)、Clinical Evidence(http://clinicalevidence.bmj.com/x/index.html)などが吟味されたデータベースとして知られていますが、閲覧に高い費用がかかるため利用しやすいデータベースとは言えないかもしれません。しかしUp to Dateなどはその内容が教科書的にまとめらており、必要とする情報が得られやすいことで知られているようです。利用できる診療環境にある方には非常に有用なツールになると思われます。
もう一つデータベースとしておそらく最も有名なものがMEDLINEでしょう。
MEDLINEの強みはその情報の多さです。世界各地のあらゆる機関誌や学会誌がこのデータベースから検索可能です。しかし大きな欠点もあります。それは情報量が多すぎるために目的とする情報にたどり着くこと自体が困難を伴うこと、そして内的妥当性の吟味がなされていないことです。よってこのようなデータベースは、より高度な前景疑問の解決に役立てたり,既にタイトルが分かっている情報の検索に使われるべきと言えるでしょう。
また繰り返しになりますが、情報の検索の際には前述のエビデンスのヒエラルキーについて確認することも必要です。これは内的妥当性の検討に大きく通じるところもありますが、各研究デザインがどのような利点・欠点を持ち合わせているかを把握している必要性があります。
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Gordon Gyatt, Drummond Rennie .Users’ guides to the medial literature.
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木村貞治:EBPTの実践に向けて.理学療法科学22(1):19-26,2007