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Step1:患者の臨床問題や疑問点の抽出の定式化

 

エビデンスを使うための最初の作業は、患者の臨床問題や疑問点を抽出し、調べやすい形に整理することです。この実践のためには’’PICO’’というフォーマットを用いてキーワードを整理することがポイントとなります。

 

PICOとは、

P;どんな患者に patient

I or E;どんな介入があると Intervention or Exposure

C;何と比較して Comparison

O;どんな結果になるのか Outcome

 

PICOの設定はトレーニングにより洗練されていくとされており、日々の臨床上の疑問をフォーマットに当てはめて反復的に整理していくことが求められます(3)。またEBPTを実施していくためには、日々の臨床実践で直面した問題や疑問点をケース記録に記すとともに、それらを疑問点リストとしてエクセルのワークシートにリストアップして、優先順位の高い疑問点から次に続く情報の検索へと進行していきます(4)。

以下のケースレポートを対象にPICOの設定をしてみましょう。

 

 ‘’50歳男性、製造業で普段から中腰姿勢を繰り返すことが多い。クリニックを受診する2週間前、いつも通り仕事をこなしていると20kg弱の荷物を彼の胸の高さの棚から床に降ろそうとした際に急激な腰の痛みが腰に生じた。それ以来、朝起きると非常に強い痛みを経験し、毎朝の洗面は本当に億劫で恐ろしさすら感じる時間であった。症状は2週間前に比べて症状の改善が得られなかったために某クリニックの受診に至った。

理学療法開始直後、彼の症状は予想していたよりもひどく、担当した理学療法士は背景としてあるだろう機能障害の改善よりも、イリタビリティ(irritabirity)の回復が優先と判断し物理療法機器の実施を計画した。しかし、彼がクリニックまで車で20分ほどの距離を通っていたこともあり、物理療法機器が安静以上に彼の症状改善に価値あるものかどうかを検討する必要があった。’’

 

P;急性腰痛の患者

I;物理療法機器 TENSなど

C;安静

O;痛みの改善

 

この症例はPICOの設定が容易な例だと思います。難しい症例になればなるほど、自身の感じている疑問の矛先がどこになるのかの分析は難しくなります。またPICOに慣れない内は、短いキーワードやセンテンスとして整理することが難しくなります。まずは簡単な症例・問題から反復練習をしていきましょう。

 

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