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Applying Functional Behavior 

 

症例 28歳女性 腰痛

三年前に看護師として働いていた時に、重いものを持ち上げた際に痛みが発生した。その後、3週間の休暇を取り、リハビリをした。そこで理学療法士から、椎間板のダメージを指摘され、マッケンジーの伸展エクササイズを処方された。またそれと同時に、腰を曲げることを禁止され、なるべく腰椎を前弯位にしておくように勧められた。彼女は、強い活動制限を呈し、腰を曲げることに恐怖心を覚えた。

彼女の以前の治療は、マッケンジーの伸展運動、ピラティス、コアエクササイズ(骨盤底筋群、腹横筋と多裂筋の共同収縮に焦点を当てた)と水泳。また整形外科医のコンサルテーション、ペインクリニック、心理療法士、数々の理学療法士の治療を受けた。それと同時に、強い抗うつ薬、鎮痛剤なども処方された。彼女は週に2日しか痛みのせいで働くことができなかった。症状増悪因子としては、すべての脊柱の屈曲動作で、立位や歩行など脊柱の伸展を伴う運動は痛みは生じなかった。

彼女は心理的にも強いストレスを受け、椎間板のダメージがあるため腰痛は治らないものと信じきっていた。ただそれと同時に、痛みがでる動作をなるべく避けることでなんとか生活をしていた。

 

診断名:非特性腰痛

画像的所見:X-ray/MRI Lumbar spine 問題なし

客観的評価:

姿勢→胸腰椎の伸展を維持したままの歩行や座位。座位からの立ち上がりも常に伸展を維持する

自動運動→体幹屈曲は股関節の50度屈曲のみで、胸腰椎は伸展位のままで手を膝に当ててサポートする。伸展は30度で痛みなし。側屈も問題なし。数回の屈曲動作で防御性収縮と痛みが出現。

Passive physiological movement:L5/S1の部位で屈曲方向に関節可動域

Provocation palpation:L4/L5の棘突起に周囲にsensitivity

SIJ:異常なし

Neutral provocation 異常なし

Special movement test:座位や四つ這いで骨盤後傾を促すと痛みと防御性収縮が起こる。腹横筋と多裂筋の共同収縮が可能であるが、それらの筋をリラックスさせるのは難解。

 

Classification:Mal-adaptive,Movement impairment with deconditoning 

 

ここでの分類は、L5/S1におけるmaladaptiveのmovement impairment+deconditioning になります。メカニズムとしては、屈曲方向の正常な生理学的運動の欠如とそれに伴う筋の防御性収縮と屈曲方向における恐怖心です。これは、急性期で発症し、それが屈曲方向は自分にとってた悪い動きだと信じること、またコアエクササイズなどで過度に腰部周囲の筋を過剰に収縮しすぎる習慣によってさらに悪化していきました。

この場合治療方針としては、下部の腰部の屈曲方向の改善をするために、組織のsensitivityの減少と防御性収縮の改善を狙って、徒手療法などのいわゆるpassive treatmentを施行します。具体的には、L5/S1の関節モビライゼーションと腸腰筋と起立筋などに対してのマッサージを行います。またそれと同時に、屈曲方向への自動運動を促していきます。具体的には、腰部の安定化筋群の活動を

を最小限にして骨盤の後傾運動をし、なるべく腰部の前弯をneutral に持ってくるような指導をしました。最終的には座位、立位などで本来の生理学的運動に近ずくように腰部を屈曲方向へ持っていくようなトレーニングをしました。これによりmovement impairmentが改善されたので、痛み、活動制限または屈曲することへの恐怖が減少しました。

 

参考文献

O'Sullivan, P. (2005). Diagnosis and classification of chronic low back pain disorders: maladaptive movement and motor control impairments as underlying mechanism. Man Ther, 10(4), 242-255.

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